前回何故鉄骨のパナホームにしたかというお話をしましたが、今回は値引き交渉をどう進めたかについて触れたいと思います。

通常値段の交渉を行う際は、競合他社から見積もりを取り、できるだけ同一レベルの品質に揃え、一番安い金額をにらみながら各社に値下げのプレッシャーをかける、というのが王道だと思います。いわばオークションみたいなものですね。買い手に有利な競争環境を作るということが肝だと思います。

以前お話ししましたが、私は仕事柄クライアントに対して価格交渉などのアドバイスを行っています。そこでは相手を競争環境に追い込む戦略(もしくは自分が競争環境に陥らない戦略)を常に考えます。その観点では最初から相対交渉で話を進めるのは若干セオリーから外れているかもしれません。

一方で、実際に他者と競わせないと競争環境が絶対に生まれないかというとそうでもありません。業務上オークションを行わずに相対交渉に入ることもあります。利害が対立するもの同士の「交渉」ですので最初から最後まですんなり行くことはまずありません。
必ず、「このままこの相手と交渉しても埒が開かないかもしれない。」「今からでも他社に声をかけた方がより良い条件が出てくるんじゃないか。」と思う場面が出てきます。

私もGさんと話している2ヶ月半の間そう感じたことはありますし、Gさんも私がそう思っているだろうと感じている様子でした。ここが重要だと思います。Gさんが値引きの社内調整で苦しそうな場面でも「このまま続けますか?それとも他社の提案を見てみましょうか?」と確認し、私がお願いしているのではなく彼に「このまま頑張る」と決めてもらいました。

また、始めから相対で交渉する場合は実際にいるかどうかわからない競争相手と競うことになります。これはかなりしんどいと思います。積水ハウスや旭化成ホームズにこの仕様でこの値段でやってとお願いして「無理」と言われればそのネタはGさんに対して武器にならないですが、「相手がいるかもよ」と思わせられればGさんはそれを目線にせざるを得ないことになります。相見積もりを取って他社で「無理」と言われた場合も一応嘘はつけますが、実際にその選択肢は無いので相手にそこを見透かされるリスクは高くなります。

私の要求を他社が飲む可能性がどの程度あるのか?他社が飲む可能性が低いとしても目の前にあるこのチャンスを一旦逃すリスクを営業担当として取れるか?Gさんからすれば思案したことと思います。

1.実際に目の前で競合させなくても見えない敵相手に戦わせることは可能なこと
2.昔と違いネット上に情報があふれているため個別に見積もりを取らなくても大まかな相場観は得ることが可能なこと
3.複数社を競合させるには複数社と交渉を行わなければならず時間的・事務的負担が大きいこと
4.ハウスメーカーごとに特徴が異なっており、「同じレベルの質」に揃える調整は思ったより大変であろうこと

以上が相見積もりを取らなかった理由になると思います。